死への忌避(きひ) から 尊厳死宣言へのプロセス
「死」の表現は社会的にタブー視されてきました。 特に太平洋戦争以後、民衆の死に対する忌避感が強まり、意識的に避けられてきておりました。
しかし、近年(昭和60年前後)高齢化が進むに至り、終末医療(ターミナルケア)への関心が高まり始め、治療優先主義の医療に対し、末期の治療(特に延命治療)に不信・不安感がつのり、やがて批判が出るようになりました。 患者のQOL(クオリティー・オブ・ライフ)つまり「命の本質」「生きることの本質」を尊重するケアの方が、大切であるとする批判でした。
さらに、「死に方」は医者に決定権があるのではなく、患者本人に「死の自己決定権」がある、との主張が高まり「病名・病状の開示、治療方法の同意」(インフォード・コンセント)を重要とする認識が社会的に強まってきました。
この様な状況から「安楽死」「尊厳死」への関心が高まるに至り、これらプロセスの延長線上に、葬儀のあり方も、従来の習慣的、慣例的な葬儀ではなく、本人の意思を優先するべきだとする「死後の自己決定権」が提唱され、個別化された様々な葬儀方式の展開を見始めるに至りました。
【医療機関・医師の立場】
一方で医療機関・医師の間では「ギリギリまで生の可能性にかける必要がある」という基本的な医療の考え方も根強く、さらに、延命措置の打ち切り方によっては、協力した医師が罪に問われる危険性があることも事実です。
◆ 比較的新しい言葉で、明確に定義付けられてはいないようですが、一般的には、回復
の見込みがない病や障害による意識不明、ひどい苦痛状態にある患者に対し、延命
目的の治療を止め、人間としての尊厳・名誉を保ちつゝ死ねる様にする考え方。
【安楽死の定義】
◆ 回復の見込みがなく、心身の苦痛にあえぐ患者に対し人為的に死期を早めること。
① 消極的安楽死 《延命治療を中止することによ
り死期が早まる》 (尊厳死にあたる)
② 間接的安楽死 《苦痛除去・緩和治療により、
結果として死期が早まる》 (尊厳死にあたる)
③ 積極的安楽死 《意図的に積極的に死を招く
措置をとる》 (尊厳死には あたらない)
ある判例によると、患者の意思のもとによる①②のケースのみ「医師は殺人罪を免責される」とされました。
※ 生前の「尊厳死宣言」は、ご家族の不安(精神的、経済的にも)を最小限にとどめる方法として、「遺言書」と共に大切なことかと存じます。
【尊厳死宣言の注意点・要点】
1)注意点
◆ 尊厳死や介護、看病方法、ホスピスケア、献体等はご自身の意思により希望する
ことであり、遺言書のように法的な拘束力はありません。 お互いの思いやる心、
気持ちから為されるものです。
◆ 死ぬか、生きるかは究極の選択。 患者本人と医師とのギリギリのせめぎ合いの中
で、医師が一番困るのは、本人の意識、あるいは意思が不明の時、家族が治療の
継続を希望、あるいは拒否する に分かれる場合です。(最悪の場合医師が殺人罪
に問われてしまう)
◆ 遅くとも、医師からの病名・病状の開示により、不治の病と判断した時、宣言書を作
成し、家族に提示し、死期が迫ったら医師にもコピーを提示するよう伝える。
◆ 尊厳死宣言書があるとはいえ、捏造(ねつぞう)の可能性は否定できません。そこで
本人の真実の意思であることを明らかにする方法としてはこの宣言書を「公正証書」
として残すことが一番よい方法でしょう。 公正証書には「尊厳死宣言」の文例があり,
これに基づき、公証人と共に宣言書を作成するからです。(事情によっては公証人が
出向いてくれます)
2)記載内容の要点
◆ 不治の病、かつ末期になった時、無意味な延命治療の措置を拒否する。
◆ 死期が早まったとしても、 苦痛を最大限に和らげる治療をしてほしい。
◆ 植物状態になった場合の生命維持装置は速やかに取りやめてください。
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